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商談進捗を活性化する個人ニーズへの対処法

<悩んでいる人>

お客様に提案するがお客様が動いてくれない(営業)

進度アップはするが途中で商談(案件)が止まってしまう(営業)

上記について部下からアドバイスを求められたが、アドバイスできない(マネージャー)

こんなお悩みの原因のひとつとして、お客様個人にもニーズがあることを知らないで営業活動を行っていることがあげられます。ここでは日々営業パーソンが面談しているお客様にも個人ニーズがあることを明らかにし(あなたにも個人ニーズはあります)、その個人ニーズを適切に充たすことによって商談進捗を活性化する方法を紹介したいと思います。

 

<本記事の内容>

  1. 商談(案件)の進捗と決定に関わる人たち
  2. 彼らには個人ニーズがある
  3. 個人ニーズの2分類
  4. 個人ニーズへの対処法
  5. まとめ

以上について解説します。

 

1. 商談(案件)の進捗と決定に関わる人たち

営業パーソンの営業活動の目的は、お客様の問題点・課題を明らかにして、商品が会社や部門のニーズを充たすことを提案して、注文・契約締結を行い、導入して満足していただくことです。・・・よってお客様の会社・部門ニーズを充たすことに集中します。

一方でお客様満足に至るまでの工程ではtoBtoCビジネスを問わず、お客様にさまざまな人が登場します。

例えば、toBビジネスにおいては、

登場する人             組織上の役割

担当者               稟議申請者

その上司(課長・部長クラス)    (稟議アップの)意思決定者

稟議に合議する人たち        稟議合議者

社長                最終決裁者

などです。

これらの人たちは、会社が商品の導入を意思決定する稟議プロセスにおいて、組織の一員として組織上の役割を担っています。

toCにおいても同様です。

(子供が自転車を買ってもらう場合を例に書きます。)

登場する人          購入決定に至るまでの役割

子供             欲しい!という・・・稟議申請者

お母さん           お父さんに説得してもらう・・・意思決定者

(おばあちゃん        買ってあげなさいよ!といってもらう)

お父さん           いいよ!という・・・最終決定者

などです。

2.彼らには個人ニーズがある

今日ここでしっかりと学びたいのは、上述した購買の意思決定プロセスに関わる人たちは意思決定のプロセスにおける組織上の役割(会社や部門のニーズを充たす)とともに、もうひとつ人間個人としての性質がもっている本来的な欲求があることを忘れてはいけないということです。

この人間個人がもつ欲求を個人ニーズと呼びます。

営業パーソンはお客様に商談(案件)の検討や契約を進めていただくにあたって、この個人ニーズにも応えなければ、スムーズに進捗しないことを認識すべきです。

3. 個人ニーズの2分類

それでは個人ニーズにはどのようなものがあるかについてみていきたいと思います。

個人ニーズの分類方法にはいくつかありますが、大きく分けると2つのタイプがあると考えると認識しやすいと思います。抽象的な表現ですが、・・・

  1. ガンガンタイプ
  2. 慎重タイプ

以下、それぞれについて説明します。

いまあなたが実際に面談している相手をイメージしながら読んでみてください。

理解が進むはずです。

3-1. ガンガンタイプ

(お客様が所属する)会社や部門のニーズを充たすプロセスと結果において、

・達成感を味わいたい

・社内での自分の影響力を高めたい

・自分をアピールしたい

というニーズが強いタイプです。

このタイプの人は、比較的決断力があり、スピードを重んじる傾向があります。

よって営業パーソンには、自分が決断するに必要な情報や提案をタイムリーに提供してくれることを望んでいます。

よってあなたがそのことを実践してくれる営業パーソンだとわかれば、面談にも積極的に応じてくれます。(そうでなければバッサリと切られてしまう可能性もあります。)

また提案が自分の欲求を充たすものであれば、社内でも積極的に動いてくれる人でもあります。

半面、社内ニーズの優先順位が変わった瞬間、すぐ次に関心事が移ってしまうリスクもあります。

3-1. 慎重タイプ

(お客様が所属する)会社や部門のニーズを充たすプロセスと結果において、

・危険を避け、安全にことを進めたい

・周囲との協調関係をしっかりと保ちたい

・秩序を重んじることを重視したい

というニーズが強いタイプです。

このタイプの人は、比較的意思決定が遅く慎重な傾向があり、ていねいに一歩ずつ事を進めていく傾向があります。

よって営業パーソンには、スピードよりも、自分の安全が保たれる・周囲に説明し易い・論理的かつ詳細な情報や提案を提供してくれることを望んでいます。

よって営業パーソンがそのことを実践してくれなければ、提案に同意もしません。(場合によっては面談に応じてくれなくなります。)

また社内調整に時間がかかる人もこのタイプです。

半面、一旦決断・納得していただき社内的に動き始めると、前準備に時間を要した分だけ確実に事を進めてくれる傾向もあります。

4. 個人ニーズへの対処法

それでは営業パーソンは、この2つのタイプの個人ニーズにどのような接し方・対処をすればいいでしょうか。

対処法について以下に書きます。

4-1. ガンガンタイプへの対処法

タイプ説明でも分かるように、このタイプの人には、

つねにつねに誰よりも新鮮な情報を提供する

新しいことを早くやりたい・作り上げたい、それができる自分をアピールしたい人ですから、つねに誰よりも新鮮な情報の提供を営業パーソンの活動の基本にすべきです。まずは第一報の情報を送る→それ必要、もっと詳しく!と反応したら→詳しい第二報を送るくらいの新鮮さとスピード感をもって情報提供すると喜ばれる傾向が強いです。

・面談で受けた質問に対して即日回答する

何よりもスピード重視です。

・社内説明会やデモ会など斬新かつ目立つイベントの企画を行う

お客様社内にとって斬新なイベントの企画が喜ばれ、一旦引き受けると積極的に社内を説得してくれる傾向が強いです。

・つねに「あなたのために」を演出する

強い自己顕示欲・達成意欲をもつ人が多いため、つねに「あなたのために」の演出が効果的です。例えば商品説明においても、・・・を導入することによって御社を画期的に改善することができます/次のありたい姿に近づけます/あなたへの評価が高まりますなどをクロージング・トークに使いましょう。決して対立してはいけません。瞬時にして営業パーソンが退場させられる危険が出てくる傾向があるのもこのタイプです。

・スタンドプレーが過ぎないようにうまく方向付けを行う

営業パーソンからみて頼りがいがあるためついつい任せっきりになってしまいがちです。基本はそれでいいと思いますが、ともすればスタンドプレーにおちいり易い傾向にもあります。営業パーソンは、目立たないように先回り(さりげない根回し)・後回りし(しっかりと社内説明ができているか・商品説明にオーバートークがないかどうかなどを確認し)ながら方向修正を行う心がけが必要になります。

4-2. 慎重タイプ

・導入実績や事例に基づいた裏付けのある情報を提供する

安全にことを進めたい・周囲との協調関係を大切にしたい・秩序を重んじたい人ですから、スピードよりも導入実績や事例、実験データなど数字に基づいた裏付けのある情報の提供を営業パーソンの活動の基本にすべきです。新しい情報を入手した場合でも、しっかりと内容確認したうえで情報提供すると喜ばれる傾向が強いです。

・面談で受けた質問に対しても論理的かつ詳細な回答を行う

質問に対する回答もスピードよりも品質重視で行います。質問の意図をしっかりと確認したうえで、回答までに要する工数とその理由を納得してもらい回答することにより、より信頼感が得られる傾向が強いです。

・アンケート調査を行うなどデータ収集できるイベントの企画を行う

お客様社内にとって斬新な企画の提案は好まれませんし、社内調整に時間がかかる傾向が強いです。むしろアンケート調査を行うなどデータ収集できるイベントの企画を行うなどの提案の方が好まれます。

・つねに「あなたのために」を演出する

つねに「あなたのために」の演出が効果的なのはガンガンタイプと同様ですが、例えば商品説明においても、確実性が高くリスクが少ないこと、合理的に秩序が維持・向上できること・コミュニケーションが良くなることを強調します。そして検討・導入に際してあなたが提案し易いようにしっかりお手伝いします/社内調整も一緒になってお手伝いさせてください・・・などをクロージング・トークに使うと効果的です。

・うまく先回りしながらつねに方向づけを行う

やり過ぎてもいけませんが、営業パーソンは、目立たないように先回り(さりげない根回し)しをしながらながら、方向づけを行う心がけが必要になります。一緒に同行させていただくなどの提案も有効かと思います。

5. まとめ

以上、「【営業力強化】商談進捗を活性化する個人ニーズへの対処法」について、私の経験をもとにまとめました。

冒頭の悩みのような、お客様が動いてくれない、途中で商談(案件)が止まってしまうなどは、意外にも個人ニーズへ対処できていないことによる原因が多いです。必要に応じて一度立ち止まり、それぞれのタイプ別に「何が自分に足りなかったのか」をチェックして対処することによって改善されるケースがたくさんあります。

営業活動が人と人との接触によって行われる以上、個人ニーズへの配慮は忘れてはいけません。

また私の経験からいえば、売れるセールスと売れないセールスの差は、この個人ニーズへの対処の差であるとさえ思います。

最初は上手くいかなくても、繰り返し経験することで対処法が身に付き、商談進捗は活性化されるようになると確信します。

がんばってください。