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最適な訪問量管理が営業成績とチームの生産性を高める

 <悩んでいる人>

毎日お客様訪問をしているが実績につながらない(営業)

訪問量管理は行っているが、データを集計して終わりになっている(マネージャー)

売上増加のためにどのような訪問量管理をすればいいのかわからない、アドバイスができない(マネージャー)

こんな悩みを解決します。

営業はつねに何らかの手段でお客様接触活動=訪問を行います。ところがこの「訪問」が結構くせ者で、ただ単に訪問すればよいというものではないことは皆さんもお分かりだと思います。

じゃあどうしたらいいですか?と聞くと、

営業:いや訪問量は多いのですが、なかなか成果につながらなくて、・・・

マネージャー:しっかり量管理はできているんですがそれで終わっています。訪問の質を高めないと・・・

など、<悩んでいる人>のような悩みになります。

そこで今回は「【営業力強化】最適な訪問量管理が営業成績とチームの生産性を高める」を書くことにしました。

なお訪問量管理について例えば「市場拡大期における奴隷の公式だ!」「量管理は無意味!」など否定的な意見もありますが、そんなことはありません。(その理由も本文に書くつもりです。)

また近年はインサイドセールスの機能などしくみの変革がありますが、ここでは説明の便宜上営業による直接訪問に絞って解説します。(考え方としては参考にできます。)

 

<本記事の内容>

  1.  そもそも訪問量管理は誰のものか
  2. 訪問量管理はなぜくせ者なのか
  3. 訪問量管理の本質とは
  4. 訪問の分類
  5. 訪問手段のいろいろ―訪問手段の組み合わせ
  6. 訪問量管理で何をみるか、どう対策するか
  7. さいごに

 

1. そもそも訪問量管理は誰のものか

訪問量管理は、管理=マネジメントですから、マネージャーの仕事と思っている人が多いです。

まず明確にしておきたいことは、詳細はあとで説明しますが、

訪問量管理は、

  • 営業が行う自身のお客様活動管理の重要な要素です
  • マネージャーが行う自チームの市場活動管理の重要な要素です

2. 訪問量管理はなぜくせ者なのか

訪問量管理は実はなかなかくせ者です。

その理由は、

  • 営業はできていると思っている、一生懸命訪問していると思っている
  • 営業もマネージャーも訪問量は単なる数管理に過ぎず、訪問の質の方が重要であると思っている

の2つにあります。

ここでは後者について補足します。

そもそも狭義の訪問管理には質と量(数)の2つの側面があります。当たり前ですが質の高い訪問×訪問数の多さがベストですが、下記のように「どうやったら営業成績やチームの生産性を高めるか」を考えるときに訪問数の現状認識と対策の関係は「訪問数が少ない」→「訪問数を増やす」→「訪問数が増えた(多い)」→(営業成績が上がった?)→「やっはり訪問の質を上げなきゃ!じゃあどうする?」と訪問の質に問題意識が移ります。

現状認識                          対策

訪問数が少ない              訪問数を増やす

訪問数が多い                  訪問の質を上げる  →じゃあどうする?

その結果、営業訪問数は上司に報告するだけ、マネージャーはその報告を集計するだけで何ら意味をなさない無駄な管理になってしまうのです。

実際は質と同じくらい量(数)も大切なのです。次の「本質」で理解してください。

3. 訪問管理の本質とは

訪問量管理の本質とは、

  • 訪問量=お客様接触量です
  • 訪問量×商談(案件)化率=商談(案件)数ですから訪問量は欠かせないです
  • 営業チーム/営業個人の限られた資源(ヒト×工数)を市場/お客様にどう最適配分するか、また最適配分が徹底されているかを確認・修正するための重要なチーム/自己の管理項目です

よって、訪問量管理は、多いか・少ないかを重点に管理もするし、営業個人にとってもマネージャーにとってもどこの市場/お客様にどれだけの訪問数(量)を投下しているかの数(量)の最適化とバランスをも管理する重要な項目となります。

4. 訪問の分類

これまでひとことで「訪問」と呼んできましたが、営業活動にはさまざまな活動があるように訪問にもさまざまな訪問があります。ある営業の一例ですが、

説明しますと、営業/チームのある期間の訪問総量を「総訪問」とします。その総訪問には、商談(案件)の発掘や進捗に直接関わる「有効訪問」とそれ以外のクレーム対応や作業他に関わる「顧客訪問」の2つに分類できます(顧客訪問が有効でない訪問という意味ではありません)。有効訪問は「新規訪問」・「挨拶訪問」・「案件進捗訪問」の3つにさらに分類できます。

 

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なお「挨拶訪問」の下に上長同行(〇)、名刺交換(〇)、立ち話程度(×)と書いてありますが、立ち話程度では訪問目的を達成したとはいえないと判断し有効訪問には含まないことを示しています。

5. 訪問手段のいろいろ―手段の組み合わせ

訪問には直接訪問以外にいろいろな手段が考えられます。例えば、電話やFAX、メール、また打ち合わせにはテレビ会議システムの利用などが考えられます。より訪問の効率性、効果※を実現できれば、訪問手段はどれを選択してもかまいません。むしろ積極的に手段の組み合わせを検討すべきです。

ただ重要ポイントでの訪問は相手の顔や声やしぐさがうかがえる直接訪問を基本にします。

※効果:有効な訪問目的を達成するできる/できた

6. 訪問量管理で何をみるか、どう対策するか

それでは訪問量管理で一体何をみるのか、 どう対策すべきかについて述べます。

6-1. 総訪問量の量の多少、増減の傾向はどうか

当然ですが個人として、チームとして総訪問量の多少、増減の傾向をとらえます。

多ければいいというものではありませんが、自分/チームのペースは経験知からある程度判断し基準値を設定しておきます。これが連続で基準値を下回るようであれば、何らかの原因があるはずですから対策が必要です。増減の傾向も動揺です。

6-2. 有効訪問の量は確保されているか

総訪問が減っていても有効訪問数が増えているならば問題ありません。逆によくあることですが、クレームやトラブル対処、現場作業などで顧客訪問数が増えたことによる総訪問量の増加の場合は問題視すべきです。それをしようがないと目をつぶっていては、後々の営業成績に大きく影響します。個人であれば上司に相談する、マネージャーはチームの問題として対処を検討すべきです。

6-3. 有効訪問の新規訪問・挨拶訪問・案件進捗訪問の3つの訪問量とバランスはいいか

まず以下の公式をみてください。

A:訪問件数×商談(案件)化率=商談(案件)数・・・新規訪問

B:商談(案件)数×成約率=商談(案件)成約数・・・挨拶訪問+案件進捗訪問

C:ユーザー様訪問数×クロスセル/アップセル/紹介率=商談(案件)数/成約数・・・挨拶訪問+案件進捗訪問

Aは新規顧客開拓のケースです。訪問先リストを訪問によって何件つぶしたか(訪問件数)×商談(案件)化率が商談(案件)数を生みます。営業のスタートはここです。

BはAによって生まれた商談(案件)を決める(案件進捗の)ケースです。よって商談(案件)数×成約率=商談(案件)成約数の公式が成り立ちますが、ここで重要なことは成約率=訪問量(数)×質だということです。やや極端ないい方をすれば、例えば新人営業のように質が伴わなければ訪問量(数)で成約率を上げていくことになります。

CはBによって獲得できたユーザー様からクロスセル/アップセル/紹介をもらって効率的に追加売上/商談(案件)を獲得していくケースです。

これらの3つがA→B→C→A→・・・と純回転し始めると、営業もチームも営業成績は上がり、生産性が高まります。

そしていまAを重点に活動すべきか、Bなのか、それともA・B両方なのか、またCはおろそかになっていないかは、営業個人、チームのそれぞれの事情によって異なります。まずは営業個人の最適化をはかり、その積み上げをチームとして管理する必要があります。これを個人/チームでしっかりとらえて管理することが最適な訪問量管理です。

またそれでもチーム目標に足りない場合は、チームとしては営業個人に過度な訪問負荷はかけられませんから、例えばAが課題であれば新規開拓をうながすイベント、Cであればユーザー様に再購買や紹介をうながすイベントを企画・実行するなど適切な対策をうつことができます。

いかがでしょうか。

なおBについては、営業プロセス上の各工程における訪問量管理を行うとさらに完璧な量管理ができることを、付け加えておきます。

7. さいごに

多少なりとも営業に関わった人、またマネージャーなら誰でも今回の説明は簡単に感じるでしょう。またそんなことはわかっているよ!といわれるかもしれません。。

そんな方にはあらためて以下のことをお聞きしたいと思います。

  • 本当に実践できていますか→できていないとしたらなぜですか?
  • 本当に市場/お客様のポテンシャルに見合った訪問配分が実践できていますか→できていないとしたらなぜですか?
  • 毎期業績達成はできていますか?ーできていないとしたらその原因に訪問配分(訪問量管理)はありませんか?

・・・Why問答でぜひ考えてみてください。

私の経験で恐縮ですが私がベテランの営業マン時代に、成績もよかったですから、誰からも私の行動管理をされることはありませんでした。最初はいい気になっていましたが、あるとき新規顧客開拓が遅れ始めたりと自分の活動に癖があることに気づきました。以降私は訪問量管理は基本中の基本としてつねに自分のために行いました。その後、マネージャーになっても、事業部長になっても、社長になっても、報告がくる訪問量管理は重要項目として必ずみていました。それをみていればおおかたの部門業績がわかるからです。また訪問量管理=お客様接触量管理ですから。

もし上記の質問に少しでも「できていないかも?」と思われる点があれば、至急改善されることをお薦めします。

きっと最適な訪問量管理は営業成績と生産性を高めることに貢献するはずです。

がんばってください。